夏休み(の季節)ということで、子どもに負けじと読書感想を。『大人もおどろく「夏休み子ども科学電話相談」』を読みました。
「夏休み子ども科学電話相談」は「あの」NHKラジオの名物番組そのものです。本書は25017年の7月にソフトバンク・クリエイティブのサイエンス・アイ新書より刊行されています。
「夏休み子ども科学電話相談」とは?
「夏休み子ども科学電話相談」とは、1984年からNHKラジオ第一で毎年夏休み時期に放送される番組。当日、または事前にメールや電話で送られた子どもたちからの質問に対し、各ジャンルの専門家である先生方それに応える、という形式の聴取者参加型番組です。
質問者である子どもたちと回答者である先生たちの微笑ましもためになるやり取りが魅力。30年以上続いているという実績も納得のラジオ番組です。
本書について
本書『大人もおどろく「夏休み子ども科学電話相談」』は、その「夏休み子ども科学電話相談」の2016年の番組内容を凝縮して一冊にまとめたもの。
- 第1章:身近にある科学に納得
- 第2章:すごい生物と驚きの生きざま
- 第3章:空を見上げて浮かぶ疑問
- 第4章:大人もたじろぐ難問奇問
の全4章を大きな区切りとした全50の質問から成ります。各回は全てラジオ番組でのやり取りを元にした会話形式で、臨場感が伝わります。
感想
不思議ですね。なんで大人になると、子どもの頃に感じていた「不思議」を「当たり前」のこととしてしまうんでしょうね。「夏休み子ども科学電話相談」に寄せられる純朴な質問の数々を見て、そんなことを感じました。
- 「カガミに映ると反対になるのはどうして?」(質問者:5歳)
- 「タネなしのモモやサクランボはなぜないのですか?」(質問者:小学6年生)
- 「セミやカブトムシは、なぜ死ぬとひっくり返るのですか?」(質問者:小学2年生)
など、「ああ、子どもの頃こんなこと考えてたな」というような質問が目白押し。
その事象・現象に対して「そうである」ことは知っている大人は数多いでしょうが、「なぜそうなのか」を説明できる人はほとんどいないのでは。というかそもそも「そうである」で止まってしまって、疑問に思うこともないのでは。子どもの自由な発想力にまず驚きます。
そして本書ではそんな疑問の数々に対して、専門家の先生方が一生懸命回答する様子が会話形式で収録されています。これが文章にして読むとなかなかおもしろい。
以下は「タネなしのモモやサクランボはなぜないのですか?」のやり取りの一部(P29より)。
回答者「あれの中に本当のタネの部分があるんやけども…。(中略)そやけど、あの殻がとれないと、モモもサクランボもたねなしの意味がないでしょ?」
質問者「ああ~」
――納得!先生方が背後でくすくす笑っています――
回答者「だから、今のところはできてない、って言われてるの」
質問者「へええ!」
どうです、この微笑ましさ(笑)。まるでホントにラジオの電話相談を聞いてるみたい。臨場感がビンビン伝わります。
で、回答する先生や司会の方が一生懸命なんですね!少しでも子どもに伝わるように、それも声だけでわかるようにいろいろ工夫をする。中には「そらわからんやろ」という答え方の先生もいますが(笑)、それも丸めて「夏休み子ども科学電話相談」のおもしろさ。
本書で一番好きな質問は「人の心はどこにあるのですか?」。質問者は小学2年生ですが、うんうん、気になるよねぇ。人の心がどこにあるのか。この問題なかなか難しいですよね。頭?胸?それとも?回答は「◯◯◯◯い」なんですが、それをやさしく説明する先生の姿勢がステキです。
というわけで『大人もおどろく「夏休み子ども科学電話相談」』の感想。タイトルは「大人もおどろく」ですが、もちろん老若男女が楽しめる内容。微笑ましいラジオ番組の空気に触れつつも、大人が忘れかけてた子どもの心を思い起こさせてくれる楽しい本でした!機会があればまたラジオ番組も聞いてみたいですね。
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