2016年5月20日の毎日新聞朝刊。作家の津村記久子さんが、マーガレット・ミラーの小説「まるで天使のような」を紹介されていました。
同記事から津村さんの言葉を引用すると
正直言って、わたしが現在人間の心について知っていることで、実際の生活の中で 学んだものはほとんどない。八割がたは、マーガレット・ミラーの小説で教えてもらったからだ。なのでわたしからミラーの小説を読んだ記憶を消すと、三十八歳の八割引きで、だいたい七歳児程度にしか人の気持ちのわからない人間ができあがる。
うーん、心の形成についてプロの作家にそこまで言わせるマーガレット・ミラーの小説。一体どんなものなのだろうか…。
てなわけでこの記事を読んだ少しのちに、「まるで天使のような」を購入。
しかしふと気づくと積読が貯まってきた。しかも翻訳小説ばかり…!
というわけで絶賛積読中の翻訳小説をご紹介。
本当は読んでから感想でも書きたいのですが、いつになるかわからないので追記するスタイルで!
なお書籍紹介の引用はすべてAmazonより。
「まるで天使のような」マーガレット・ミラー
山中で交通手段を無くした青年クインは、“塔”と呼ばれる新興宗教の施設に助けを求めた。そこで彼は一人の修道女に頼まれ、オゴーマンという人物を捜すことになる。だが彼は五年前、謎の死を遂げていた。平凡で善良な男に何が起きたのか。なぜ外界と隔絶した修道女が彼を捜すのか。私立探偵小説と心理ミステリをかつてない手法で繋ぎ、著者の最高傑作と称される名品が新訳で復活。
津村記久子さんが絶賛していた、カナダの女性作家・ミラーのミステリー小説。こちらは2015年発刊の新訳版。
半分ほど読みましたが、おもしろいです。探偵役クインのひねた口調、嫌味にならないギリギリのラインがいい。
発端がカルト系の宗教施設というのも海外っぽくて、洋画を見ている感じ。
それにしてもこの小説の文章は読みやすい。翻訳がうまいんでしょうね。
ちなみに津村さんは件の記事で、同じくミラーの「殺す風」も感動的だった、と書かれています。
「夜が来ると」フィオナ・マクファーレン
夜、家を虎がうろついている……海辺の家で一人暮らす75歳のルースのもとに、ある日ヘルパーのフリーダが現れた。不思議な魅力を持つフリーダに、ルースは次第に心を許すようになるが。オーストラリアで多数の文学賞に輝いたサスペンスと抒情に満ちた傑作長篇。
ハヤカワより発売の「夜が来ると」。
「ホラーではないけど怖い!」というAmazonのレビューが気になって、反射的に購入。
表紙に描かれた、読者を見つめる「虎」の視線から目を逸らせない。
うーん、怖いの?気になる…。
「キリンヤガ」マイク・レズニック
絶滅に瀕したアフリカの種族、キクユ族のために設立されたユートピア小惑星、キリンヤガ。楽園の純潔を護る使命をひとり背負う祈祷師、コリバは今日も孤独な闘いを強いられる…ヒューゴー賞受賞の表題作ほか、古き良き共同体で暮らすには聡明すぎた少女カマリの悲劇を描くSFマガジン読者賞受賞の名品「空にふれた少女」など、ヒューゴー賞・ローカス賞・SFクロニクル賞・SFマガジン読者賞・ホーマー賞など15賞受賞、SF史上最多数の栄誉を受け、21世紀の古典の座を約束された、感動のオムニバス長篇。
こちらもハヤカワより発売のSF翻訳小説「キリンヤガ」。
連作短編形式なので、ゆるゆると読んでます。現在約半分まで読了。
(西洋文明にとっては)やや理不尽ともいえる、伝統的な掟を守るアフリカの部族。
彼らの生きる土地がユートピア小惑星である、という設定がユニーク。
基本的にはアフリカ部族の描写がほとんどで、SF成分は少なめなのですが、ふと顧みると、彼らが生きているのが地球外のSF世界である、というのは不思議な感覚。
「あなたに不利な証拠として」ローリー・リン・ドラモンド
警官志望のキャシーが助けを求める女性のもとに赴いた時、その胸にはナイフが突き刺さっていた。彼女はレイプ未遂犯の仕業だと主張するが、刑事は彼女の自作自演と断定した。だが6年後、事件は新たな展開を見せる。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀短篇賞を受賞した「傷痕」をはじめ、一人の男を射殺した巡査の苦悩を切々と描く「完全」など、5人の女性警官を主人公にした魂を揺さぶる10篇を収録。大反響を呼んだ傑作集。
10編中の2編を読了。おもしろいです。進んでいないのは、他の本にかまけてしまったから。
「アメリカの警察」の雰囲気が良く伝わる小説。と書いたら続きが読みたくなってきたので、ぼつぼつ再チャレンジしていきたい。
「ひとりっ子」グレッグ・イーガン
待望の第一子となるはずだった女の子を失った科学者夫婦が選択した行動とは!? 子どもへの“無償の愛”を量子論と絡めて描く表題作、星雲賞を受賞した数学SF「ルミナス」、アイデンティティ・テーマSFの傑作「ふたりの距離」他、論理を極限まで突き詰めた七篇を収録する、日本オリジナル短篇集。
表題作「ひとりっ子」が読みたくて買った一冊。
…が、全然手をつけられていない!
まずは「ひとりっ子」だけでも読んでみよう…。
まとめ
以上、途中まで読んでいたり全く未読だったり、絶賛積読中の翻訳小説5冊でした。
まあ本との出会いは一期一会ですからね。欲しいと思ったその瞬間が手に入れ時です(ホンマか)。
読後感想はまた別の機会に。いつの日か。
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