【感想】「鬼談百景」小野不由美-これは怖い怪談小説

小野不由美「残穢(ざんえ)」を読んだ男は気づいた。

「ひょっとしてこれは同じく書店に並んでいた『鬼談百景』を先に読んだ方が、楽しめたのではないだろうか…!」

しかし今から鬼談百景に手を伸ばしたところで、残穢を読む前の自分には戻れない。

そう、時を巻き戻すことは、何人にも叶わぬことなのだ。

しかし男は更に葛藤する。

「『鬼談百景』を読めば、それはそれで別の満足感を得ることができるのではなかろうか」

迷う男。しかし彼の足は既にレジに向いていた。

鬼談百景を片手に握りしめながら、まるで何者かに憑き動かされているかのごとく…。

あ、スミマセン。これは私がホラー小説「鬼談百景」を読むまでの「あらすじ」で、同書のあらすじではありません。

いえね、以前の記事で小野不由美氏の「残穢」を読んだ話を書いたのですが、読み終わってから、どうも残穢が本書と関係があるようだと気づきまして。

読もうかなー、でも今更だしなー、どうしようかなー…と逡巡したあげく、結局読んでしまいましたw。

では以下、鬼談百景の内容・感想など。

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怪談小説「鬼談百景」について

本書は小野不由美氏の描く怪談、いわゆる「怖い話」が99本収録されています。

カバー裏の説明「虚実相なかばする怪談文芸~」、また解説・稲川淳二氏(!)の「(話を)読者の体験談から作り上げたそう」という一文から見るに、基本的には創作のようです。

話としては、学校の七不思議や廃病院での肝試し、夜のドライブ、林間学校、暗がりに潜む影、のような、誰しも一度は聞いたことのあるオーソドックスなもの。各話は1~5Pぐらいと短いボリュームです。

しかしそこは、怪奇小説を数多く手がけられている小野氏が描く物語。一話一話が読みやすく簡潔、それでいて実に怖い。

稲川淳二さんの解説から言葉を借りるなら、各話に「うっすらとした闇の質感」がある。

各話に描かれる、ふと目を凝らした暗がりの先にある、人知を超えた不可思議な事象。

読むものの想像力を掻き立てずにはいられない、何とも言えない怖さがそこにあります。

ところで本書は、稲川さんの解説もすばらしい。さすがこの業界の大家(?)です。なお表紙の猫は、本書収録「透明猫」をイラスト化したもの。

ホラー小説「残穢」との関係

私は「残穢」を読み終わった後に、本書と関係があるようだ、ということを知りました。

「残穢」は、「鬼談百景」をまとめた作家(小野氏?)を主人公に据えた、とある住宅に起こった怪異の源泉を追うドキュメンタリー・ホラー小説。

なるほど、確かに残穢の物語内で見かけたような話が、この「鬼談百景」のそこかしこに。

そして鬼談百景は、「百景」と銘打ちながら全99話。その100話目が「残穢」でもあるようです。

両書を読んだ人間としては、

  • 「鬼談百景」は独立した百物語系の小説としておすすめ
  • 「残穢」と「鬼談百景」、両方読むなら後者から

といった感想を持ちました。

特に「残穢」を読もうと思われている方は、「鬼談百景」からの読書をおすすめします。

っていうか残穢の感想でも書きましたが、出版社が違うからややこしいんですよね。未読の方はご注意ください。

というわけで怪談小説「鬼談百景」の感想など、でした。

実は百物語系の小説は初めて読んだのですが、とても楽しく(恐ろしく?)読めました。

毎夏、忘れた頃に再読したい。各話が短いので手軽な読書にも最適です。

そしてこの勢いで今度は「耳袋」系の本に手を出そうかな、と画策しています。

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