8つの怪奇にブルブル―津原泰水「蘆屋家の崩壊」

暑いですね!そんな時は怪奇小説でも読んで、一服の清涼を味わってはいかがでしょうか。

オススメはこれ。津原泰水(つはらやすみ)氏の怪奇短編集、「蘆屋家の崩壊(あしやけのほうかい)」です。

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もとは集英社から出てたものが、2012年に収録作を若干変更してちくま文庫から再発売されたようです。

収録作は「反曲隧道(かえりみすいどう)」「蘆屋家の崩壊」「猫背の女」「カルキノス」「ケルベロス」「埋葬蟲」「奈々村女史の犯罪」「水牛群」の8編。

あらすじと感想

主人公は、三十路を超えて未だ定職つかずの「おれ」こと猿渡と、怪奇小説家の「伯爵」。二人が行く先々で怪異に出会います。

ちなみに「伯爵」は、黒ずくめの格好が由来のあだ名。特に特殊能力を持っている、というわけではありません。

本書で特に気に入った、というかブルったのは、「反曲隧道」と「猫背の女」。

「反曲隧道」はわずか7Pの小編。「あれ、もう終わり?」という展開で最初はビックリしますが、「仕掛け」に気づくとブルリ。そしてニヤリ。

なるほど、そのための前フリだったのね。

猿渡と伯爵の出会いを描きつつ、ちゃんとホラーとして仕上げているのはお見事。トップバッターとしてつかみはOK!、な出来。

「猫背の女」は大学時代の猿渡と、とある女の話。

ふとした出来事をきっかけに、猿渡につきまとう謎の女の奇行がなんとも恐ろしいのですが、それにとどまらず…。

非常に完成度の高いサイコ・ホラー。読み終わったあと、つい周りを確認してしまう。

質の高いホラー短編がいっぱい

その他、八百比丘尼伝説・秦道満・お稲荷さんを題材とした表題作「蘆屋家の崩壊」はじめ、どの作品も質の高いホラー。

グロ描写やビックリ箱的な展開に頼らない内容は、正に「怪奇小説」で、その怖さに満足しました。

本書は「幽明志怪シリーズ」の第一作とのこと。次作「ピカルディの薔薇」も是非読まねば。

【追記】
シリーズ最終巻「猫ノ目時計」も、文庫版が発売になりました。猿渡と伯爵の最後の冒険をお楽しみください。

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