「ニュクスの角灯」ほか、最近読んだ漫画の感想 | ネットタイガー

「ニュクスの角灯」ほか、最近読んだ漫画の感想

生存報告にひねりのないタイトルを添えて。高浜寛「ニュクスの角灯」など、ここ2~3ヶ月で読んだ漫画の感想をまとめて。

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「ニュクスの角灯」1~2巻 高浜寛

既刊2巻、以下続巻。「ニュクスのランタン」と読みます。西南戦争の少しあと、1878年の長崎が舞台。少しわけありな青年・小浦百年と、彼の営む道具屋「蛮」で働き始めた少女・美世の物語。

いろいろなものが「開けていく」感じがいいですね。ヨーロッパとの交流が盛んになりつつある日本。そこに商機を見出し、世界に向けてビジネスを仕掛けていく百年。そして引っ込み思案だけど百年やその仲間とふれあい、少しずつその世界を広げていく美世。ゆっくり、静かにではあるけれど、いろいろな物事の広がりが感じられる、良い作品。しかし百年のやっていることって何か既視感あるな、と思ったら「クール・ジャパン」だな。

「ニュクスの角灯」はリイド社の「トーチweb」で試し読みできるので、気になった方はこちらから。

トーチweb ニュクスの角灯(ランタン)

「人生山あり谷口」谷口菜津子

「ニュクスの角灯」と同じく「トーチweb」で連載されていた山登りエッセイコミック。山登り初心者である作者・谷口菜津子氏が初心者でも登れそうな手頃な山に、同じくビギナー登山者である仲間たちとチャレンジします。

第一回・高尾山篇のゲストは横槍メンゴ(漫画家)・せきやゆりえ(イラストレーター)と何気に豪華。谷口氏含め三人とも初心者なので、登山に対する意識の低さゆえに起こるできごとにほっこり。遭難の危険を感じてツイッターの心配をするあたりが今風なのか(違う)。私も登山の経験はないので、もし登ったら谷口氏のような登山になりそう。

そんな谷口氏ご一行の本格的になりきれない登山がおもしろおかしく描かれるのですが、後半収録の「二0一四年振り返り篇」では谷口氏が自身の苦しかった時期の経験を漫画にしていて、実に興味深い。今ちょっと苦しみを感じている人は目を通してみると良いかも(この話は後述のトーチwebサイトで公開中)。

谷口氏の作風は絵柄・色遣いが独特なので少し好みの別れるところがあるかもしれませんが、慣れると意外と読みやすいことに気づきます。気になった方はトーチwebサイトから試し読みをどうぞ。そして数は少ないけれど作中で描かれる料理の絵が実にうまそう。谷口氏には是非グルメレポート漫画を描いていただきたい。

トーチweb 人生山あり谷口

「兄の嫁と暮らしています。」くずしろ

兄を亡くした妹と、その兄の妻である義姉の二人暮らしを描いた漫画。百合系の話ではありません。しっかり者の妹と、やや天然ボケの優しい義姉。基本、二人の日常が笑いもまじえて描かれるのですが、その根底には常に大切な人を亡くした二人の悲しみが横たわります。

2話で借りてきた恋愛ゲームを二人でするシーン。義姉と兄の恥ずかしいエピソードにほっこりしながら、ふと兄のいた日常を思い出し、しかしそれを表に出さずに明るく振る舞う妹。うわ~、こういうエピソードダメだわ~。題材としてちょっと「ずるい」んだけど、描き方がすごくうまい。キャラクターの心理を想像せずにはいられない漫画、ついつい読み返してしまう。

一緒に暮らす必然性のない二人。義理の「姉妹」でありながらその実、他人でもある二人。そんな義姉と妹の今後が気になる一作。ガンガンオンラインでも一部公開されているので気になった方は試し読みからどうぞ。

兄の嫁と暮らしています。 | ガンガンONLINE | SQUARE ENIX

「コドク・エクスペリメント」全3巻 星野之宣

「2001夜物語」の星野之宣氏によるハードSF。崩壊した惑星デロンガを探索中の調査船が未知の生命体に襲われ、やがて船内で生物兵器も巻き込んだサバイバルに発展…という物語。「コドク・エクスペリメント」の「コドク」は壺に閉じ込められた毒虫を戦わせて最強の毒を作りだすという「蠱毒」のこと。

文庫版全3巻のボリュームですが、軍隊・遺伝子操作された兵士・閉鎖空間・謎の生命体・生物兵器、そしてわかりやすい悪役(※ラスボスではない)と、実にハリウッド映画チック。スピーディな展開と「これは生き残れないだろ…」という絶望感に一気読み。恐竜世界でのサバイバルを描いた星野氏の別作品「ブルー・ワールド」が好きなのですが、宇宙を舞台にしたこの作品もとても楽しめました。

「ダンジョン飯」3巻 九井諒子

大人気RPGコメディの第三巻。1~2巻に続き全く衰えない高いクオリティで大満足。かつてライオス一行に加わっていた人物なども登場。そしてドラゴンにさらわれた(食われた?)ファリンを追って迷宮の深部へと進むパーティ。

随所に笑える要素がちりばめられつつも、ちゃんとファンタジーRPG風な空気を崩さないのはさすが。自給自足の「ダンジョングルメ」が話題の作品ですが、話が進むにしたがってアクションシーンなんかも増えてきて、実に読み応えがあります。テンタクルス(大イカ)の寄生虫にあたる主人公と、冴え渡るエルフのツッコミが楽しめる漫画は「ダンジョン飯」だけ!

「響~小説家になる方法~」1~4巻 柳本光晴

既刊4巻まで読了。天才と変人の間を紙一重で行く主人公の少女・響が純文学界に旋風を巻き起こしていく様を描いた漫画。タイトルに「小説家になる方法」とありますが、小説家になる方法は一切描かれません。また響の小説の「すごさ」が読んだ人間の反応によってのみ表現されるため、そのあたりはAmazonレビューなどでマイナスに評価する人もいるよう。

個人的には小説自体の内容がどうかはどうでもよくって、響が起こす(主に暴力的な)トラブルにとまどいつつも、彼女の小説のパワーによって響を認めざるを得ない周囲の反応にカタルシスを感じます。また書店で見かける「純文学小説」の舞台裏、売れない作家が廃業を決意する現実など、普段は意識しない文学の裏側描写もおもしろいです。

現実、どんなにあがいても手の届かない、常軌を逸した天才というのは存在するのでしょうね。そんな彼女に触れる周囲の痛ましさが、全編にどことなく張り詰めた雰囲気を醸し出していてクセになる。大物作家の娘で先輩=友人であるリカとの関係も気になるところ。続きを早く読みたい。

「葬式探偵モズ」シリーズ 吉川景都

鬼を飼う」に続き吉川景都作品に挑戦。民俗学教授・百舌一郎と大学生兼助手(?)の原田都の二人が葬式にまつわる犯罪を解決する、一風変わったミステリー漫画。お葬式って地域や風習・宗派によって本当に様々。そんなお葬式の謎?がうまくストーリーに絡まっていて、ミステリー好きにオススメ。モズ教授が実にいい味出してます。

惜しむらくは助手の都にはある秘密がある(1話ですぐわかるけど)のですが、その秘密が物語上ほとんど役に立っていないこと。というのもこの「葬式探偵モズ」、初期掲載誌が休刊となり、別出版社の雑誌にて復活を遂げた漫画。そのためその設定を活かすタイミングを逃してしまったと思われ。今後の展開で「理由」も含めてちゃんと描かれることを期待。

そんな経緯もあって「葬式探偵モズ」のナンバリングは1巻で終了。お話は「モズ 葬式探偵の挨拶」「モズ 葬式探偵の憂鬱」に続きます。続巻をお探しの方はこちらのチェックをどうぞ。

まとめ

以上、特に脈絡のない漫画読了記録でした。久しぶりに文章書くと疲れるね…。

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