【漫画】小坂俊史「これでおわりです。」【感想】 | ネットタイガー

【漫画】小坂俊史「これでおわりです。」【感想】

竹書房より2016年2月29日に発売された小坂俊史氏のオムニバスコメディ「これでおわりです。」を読みました。一風変わったタイトルと、鉄ちゃん達に囲まれて困った顔で立ち尽くす女性が意味深な表紙。小坂俊史氏は主に4コマ漫画を書かれているそうで、本作は初のショートコミックスだとか。私は氏の作品は初めてですが、「これでおわりです。」という不思議とインパクトのあるタイトルにひかれてポチってしまいました。

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テーマは「おわり」の全16編

この「これでおわりです。」のテーマは「おわり」。各話は全て8Pのショート漫画。そして全16編のタイトルには一律「最後」が付きます。「最後の一杯」「最後の客」「最後の卒業生」「最後の名前」などなど。

居酒屋でレア物日本酒の最後の一杯を飲んでしまった女性。お店のルールによって新しい一本を九州の酒蔵まで買いに行くハメになった彼女は幻のお酒を手に入れられるのか?
…「最後の一杯」

親の気まぐれにより離島でただ一人の小学生となった主人公。島にあまりいい思い出のない彼女だったが、後に教師となって赴任したのは件の離島だった…。
…「最後の卒業生」

かつてプロのシンガーだった女性。今は会社員として働く彼女の唯一の心残りは、最後のライブでアンコール用に用意した一曲を歌えないことだった。
…「最後の一曲」

といった様々な「最後」にまつわる物語。のほほんとした日常の空気の中に、ちょっとした笑いやせつなさ、そして意外な結末が待っています。

発想の勝利

いやー、なんだろう。なんかほっこりするわ(笑)。4頭身のキャラクターたちが醸し出すほのぼのとした空気がいいですね。そして共通するテーマ「おわり(最後)」。一話、二話と読み進めていくうちに「次はどんなおわりが描かれるんだろう?」と気になってきます。

各話の「おわり」は甲子園最後のバッターだったり、得意先への最後の納品だったり、最後の一本と決めたタバコだったり様々。ああ、あるあるそんなシチュエーション、と思いつつも、結末は読者の予想を軽く・するりといなす感じ。思わず頬がゆるみます。「わ」のつく苗字で何でも最後が気に食わない分目(わんめ)君が主人公の「最後の名前」は名前あるあるだったり。同じような気持ちになった人、結構いるんじゃないでしょうか。

この「これでおわりです。」の最後の話(ややこしい)の「最後の回」はわずか8ページながら「人生」の詰まった心に残る一編。この話がまさに本書の「最後の回」であるのは実に味わい深い。心地よい読後感が残りました。それにしても「最後の◯◯」という発想がまずユニーク。確かに人生にはいろんな終わりがあるよなぁ…。そこをクローズアップしたところにこの漫画のおもしろみがあります。

というわけで小坂俊史さんの「これでおわりです。」の紹介と感想でした。「最後」という言葉にはネガティブなイメージもありますが、そこを明るくカラッと取り扱っているのもいいですね。今度は違うテーマの作品も是非書いていただきたい。殺伐とした漫画の多い昨今。たまにはゆる~く、こんな作品を楽しんでみるのもいいのではないでしょうか。

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