【感想】横山秀夫「64(ロクヨン)」 | ネットタイガー

【感想】横山秀夫「64(ロクヨン)」

横山秀夫「64(ロクヨン)」

横山秀夫・著「64(ロクヨン)」読みました。文庫版上下巻でボリュームのある作品。主人公は横山作品お馴染みの警察官ですが、「県警の広報官」という設定が異色の警察小説。2015年にNHKにてドラマ化、2016年5月に同名タイトルで公開される映画の原作でもあります。

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「64(ロクヨン)」あらすじ

元刑事で現在はD県警の広報官を務める三上。妻、そして高校生の一人娘がいるが、娘は現在失踪中。県警に詰める記者クラブとの「実名発表問題」もふりかかり、悩みの種がつきない。そんな中、過去にD県警下で起きた少女誘拐殺人事件に関連し、D県への警察庁長官視察が決定する。「64(ロクヨン)」の符牒で呼ばれるその県下最悪の未解決事件。捜査当事者として並々ならぬ思いを抱きつつも、一広報官として調整に奔走する三上。しかし長官訪問を被害者遺族から断られ、また警察内部の政治的な動きを察知した刑事部の厳しい反発も受ける。刑事部と警務部の板挟みとなり苦しむ三上。そしてD県警を揺るがす大きな動きが…。

感想

満足しました。文庫本で上下巻のボリュームですが、一気読み。良いミステリーを読ませてもらった、という読後感。横山秀夫氏の小説は「第3の時効」「深追い」といった警察小説から、新聞社を舞台にした「クライマーズ・ハイ」まで多数読んでおりますが、この「64(ロクヨン)」もそれらに負けず劣らず、実にリアリティのある内容。物語全体に警察社会の息苦しさが漂っていて、実に私好みです。※暗い話好き

物語に深みを与えているのが主人公・三上の複雑な立場。あらすじで「元刑事」と書きましたが彼は警察を退職したわけではなく、部署移動で広報官の任に付いています。警察とマスコミ・県民とをつなぐ窓口の役割で、記者クラブの記者たちに発表を伝えたり、会見のセッティングなどを行うのが主な仕事。刑事ドラマなどでよく見かけるアレですね。

そして広報官が属するのは「警務部」。一方、刑事は「刑事部」。この二部署は大変仲が悪く、そのどちらにも属していた三上は「コウモリ」として煙たがられます。ゆくゆくは刑事に復帰したい三上。しかし広報官としての役割を果たさなければならない。何より娘の行方を探すために警務部である上司の力を頼っているので、反発もできない。このあたりの「組織と個人」の描写が巧みで、実にストレスがたまって良い。刑事ドラマなどでは描かれにくい、圧倒的な縦社会である警察の描写。有象無象うずまく組織での、全てを語らない男たちの駆け引き。息の詰まるような緊張感がページのそこかしこから漂います。

基本的な話は地味、ではあります。なにせ主人公の仕事は広報。警察物の花形としてはいささか役不足か…。なんて油断をしていたら、最後にドッカンと大きな花火が打ち上がります。そこからラストへの疾走が半端ない。いろんな伏線もちゃんと回収されていて、横山秀夫ミステリーのおもしろさを堪能しました。ちなみに事件の符牒である「64(ロクヨン)」は、昭和の最後の年に起こった事件であることに由来します。

テレビドラマ版「64(ロクヨン)」の配役を振り返る

原作を読み終わったので、NHKドラマ版「64(ロクヨン)」の主要人物の配役を改めて見てみました。

  • 三上義信…ピエール瀧
  • 三上美那子…木村佳乃
  • 二渡真治…吉田栄作
  • 美雲志織…山本美月
  • 松岡勝俊…柴田恭兵
  • 雨宮芳男…段田安則
  • 秋川修次…永山絢斗
  • 諏訪尚人…新井浩文

うん、なるほど、といったキャスティング。特に主人公・三上役のピエール瀧はハマり過ぎ。誘拐事件の被害者である雨宮に段田安則という配役もシブい。二渡役の吉田栄作はちょっとカッコ良すぎ?

映画版「64(ロクヨン)」の配役をチェック

次に2016年5月7日、および6月11日に前・後編で公開される劇場版の配役をチェック。

  • 三上義信…佐藤浩市
  • 三上美那子…夏川結衣
  • 二渡真治…仲村トオル
  • 美雲志織…榮倉奈々
  • 松岡勝俊…三浦友和
  • 雨宮芳男…永瀬正敏
  • 秋川修次…瑛太
  • 諏訪尚人…綾野剛

佐藤浩市はちょっとカッコ良すぎるかな(笑)。原作の「ある事情」で三上はイケメン過ぎない方がそれらしいのですが、どんなもんでしょうか。三上の同期・二渡役は仲村トオル。役としてはハマりそうですが、佐藤浩市に較べてちょっと若い感じ?でも二人とも好きな役者さんなんで、ぶつかり合いが楽しみ。刑事部の重鎮・松岡役の三浦友和は迫力ありそう。雨宮役に永瀬正敏は意外…ですが、なるほど、こういう配役もアリか。っていうかこの映画版「64(ロクヨン)」、キャストがめちゃくちゃ豪華ですね!ビックリしました。

【前編】2016/5/7公開【後編】2016/6/11公開 犯人は、まだ昭和にいる。日本映画界最高峰の超豪華オールスターキャストが集結!究極のミステリーが感動の人間ドラマとして、ついに映画化!!

まとめ

というわけで横山秀夫の警察ミステリ「64(ロクヨン)」の感想と、映像のお話でした。普段「警察小説」を読まない方は「警察の広報」や「刑事と警務」といった、一般人にはわかりにくい警察の組織構造にややとっつきにくさを感じるかもしれませんが、それを乗り越えればラストまで一直線。映画が気になる方はまずは小説から手にとられてみてはいかがでしょうか。

ちなみに本作に登場する「二渡真治」は短編集「陰の季節」の表題作主人公。…私この本持ってるんですが、そう言えばそんなキャラクターがいたような。もう一度読み返してみよう。

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