多彩なヤマシタ節が楽しめる ―ヤマシタトモコ「運命の女の子」 | ネットタイガー

多彩なヤマシタ節が楽しめる ―ヤマシタトモコ「運命の女の子」

私がヤマシタトモコ氏の著作を初めて読んだのは「HER」「Love,Hate, Love.」。ストーリーももちろんおもしろいのですが、氏の描く切れ長の目でどことなくアンニュイな感じの女性に、いつも魅力を感じてしまいます。

そこから「サタニック・スイート」「ミラーボール・フラッシング・マジック」と読み継ぎ、この新刊「運命の女の子」にたどりつきました。黒髪の美女が特徴的な表紙。「無敵」「きみはスター」「不呪姫と檻の塔(のろわれずひめとおりのとう)」の三編を収録しています。以下、紹介など。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

■無敵

既婚の女性刑事は、取り調べ室で16歳の少女と向き合う。淡々と進む尋問。しかしやがて少女の恐ろしい素顔が―。

■きみはスター

「星は落ちてこないから星なのだ」
一人の男子高校生と二人の女子高校生が、不器用ながらも真正面からぶつかり合った恋の思い出。

■不呪姫と檻の塔

16歳になると「呪(スペル)」が発動される世界。克服するべきスペルが困難なほど、成功をおさめるという。そんなある日、日本中の人間が次々と眠りに落ちる。日本でただ一人スペルを持たない古賀美穂子は大臣に呼ばれ、同級生・杉本英知と共に―。

以上、ホラー、青春、ファンタジーと毛色のちがった三編を収録。
「無敵」は静かな空気がだんだんと昏く、黒く染まっていくさまがコワイ、渾身のホラー。もっとこんな作品を読んでブルってみたい。
「きみはスター」はこの中ではもっともヤマシタ氏らしい作品でしょうか。手で目を覆いかくしたい程の痛々しさなれど、つい指の間から覗いてしまう、青春のひとコマ。
「不呪姫と檻の塔」は新鮮。氏のファンタジー作品を読むのは初めてでしたが、なるほど、そう来たか~。ストーリーはまさに王道ファンタジー。飄々とした流れはいつものヤマシタ節ですね。

というわけで、ファンとしては満足の一冊でした。
ただ上記の通り、ほんとに三者三様の内容ですので、ヤマシタ作品にふれるのが初めてという場合は、ちょっと「?」という感じを受けてしまうかもしれません。そんな方は「HER」や「ミラーボール・フラッシング・マジック」から入ってみることをオススメします。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする